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一緒に灯台の光を灯し続けよう(アイナナ大神万理夢)

第3章 行方不明の女子力


 ――結論、大神さんとRe:valeさんと食事に行きました。
 場所はRe:valeさんがおさえてくれたとの事だったが、敷居がそれ程高くない、それでいてお洒落なお店だった。
 
「へぇ〜。良い店じゃないか」
「まあね」
 
 大神さんは案内された個室で感心したように周囲を見回していた。そんな大神さんの様子にユキさんが少しだけ得意気で、モモさんがそんな二人の様子に嬉しそうにしていたのが印象的だった。
 マネジメントの話しや少しディープな交友関係の注意点など、私としても興味深い話しで盛り上がり、社内ではあまり見ない肩の力が抜けた大神さんも見れた。
 スーツの上着を脱いで、中のシャツを肘まで捲りあげ、お酒の入ったグラスを煽る。
 その腕の筋肉や緩められた首元などに目を奪われていたことに気付いて視線を慌てて正面に戻すと、モモくんに意味ありげなウインクをされたり……。
 
 あっという間に過ぎてしまったが、とても充実した、夢のような時間だった。
 
 別れ際、Re:valeを迎えに来たサブマネージャーさんの車に乗車を勧められたが、丁重に断った。
 去っていく車が小さくなるまで見送っていると、大神さんがこちらを見て「これからどうしようか」と微笑んだ。『俺たちも解散しようか』と提案されなかった事に安堵して、思い切って大神さんに向き直った。
 
「せっかくですし、少しだけ飲みませんか」
 
 意気込んで鼻息が荒くなっていたかもしれない。そんな私を見て、少しだけ目を丸くした後にふはっと息を吐くように笑った。
 
「良いよ。少しじゃなくて、とことん飲んじゃいますか!」
 
 腕を組むでも手を繋ぐでも無い関係だから、お喋りしながら隣を歩く。それだけで、舞い上がりそうになるくらい幸せだった。
 
 ――だった、のに。
 
 今、見た事の無い天井の下、ぐっすりと眠る大神さんの隣に横たわっている。
 こちらを向いて寝息をたてる大神さんの掛け布団から逞しい素肌が覗いて……覗いているどころかガッツリと肌色が見えている。大神さん右腕は私の枕がわりだ。畏れ多くも腕枕されている。
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