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一緒に灯台の光を灯し続けよう(アイナナ大神万理夢)

第3章 行方不明の女子力


 二件目でキツめの酒だなと思いながらも飲んだのが悪かった。記憶が無い。
 自分の格好を確かめるのが怖い。緊張と不安から思うように動かない手をようやく動かして、自分の身体に指を滑らせる。
 
 思った通りハダカでした。ありがとうございます。
 
 少し掛け布団を持ち上げてから手をおろすと、ぱふんと布団の中の篭った空気が飛んできて睫毛を揺らした。同時に、強めの大神さんの香りが直撃して、身悶えてしまった。今なら自分が大神さんの香りを全身に纏っている自信がある。
 
「ううーん…。さん…?まだ外も暗いみたいだから寝よう……」
 
 自分の腕の中で奇妙な動きをしていた為か、大神さんが少しだけ覚醒する。
 そして、左腕で私の身体を自分の方に引き寄せ、ピッタリと肌が隙間なく触れると安心したのか、再び大神さんから寝息が聞こえてきた。大神さんの寝息が仰向けのまま硬直する私の髪を揺らす。
 大神さんの寝息の他は外からの音も聞こえない静寂の中、アルコールが入ってるにも関わらず眠れなくなってしまった。抱き込まれる姿勢を崩したくなくて、身動ぎも出来ない。
 
 結局一睡も出来ず迎えた朝。
 大神さんのスマホからアラームが鳴り出した。鞄の中に入ったままのスマホが小さく鳴り続け、大神さんが「んん…」と掠れた声を出して、細く目を開けた。
 ガン見する私と目が合うと、大神がふんわりと笑った。
 
「おはよ。さん」
「オハヨゴザイマス」
「なんでカタコト?あ、ちょっとごめんね」
 
 大神さんはひと言謝ると、腕枕していた腕をゆっくりと引き抜いた。そのまま、シーツに肘をついた状態で私の頭に軽くキスした。
 
「朝ごはん、食べたい物ある?……あ、ちょっと、さん!?」
 
 あれだけ眠れなかった私は、大神さんの頭へのキスひとつで気を失うように眠ってしまったのだった。今日が休みで良かった……。
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