【モブサイコ100】その花の名前は。【島崎亮】【短編集】
第1章 その瞳に映るのは
「大切な人の目を傷つけるわけがないでしょう。まぁ、他の人に傷つけられるぐらいならその前に私が傷つけますけど。」
「物騒なことをニコニコしながら言わないでもらえますか」
ジト目で睨みつければ、「そんなに怒らないでください」などと言いながら、今度は子供をあやす様な手つきで頭を撫でてくる。島崎さんの腕の中にいる私に抵抗する術はもちろん無い。
「確かに私みたいな人は世界中探してもそう居る訳じゃない。何故私が瞳と引き換えにこの強大な力を授けられたのか…それは、君を守るためなんじゃないかって思うんですよ」
「少し前までは、世界征服の為に使っていたくせに?」
「相変わらず痛いところを突きますねぇ。確かに前までの私はそうだった。けど、事情が変わったんですよ」
ゆっくり近づけられる薄い唇、閉じられた瞳。どうしたって彼は美しく、気高く、孤独な人だ。こんな人を好きになってしまったのが運の尽きで、私だってもうとっくに手遅れだった。
「私は私の世界にいる貴方を、守りたいだけです」
前言撤回しよう。私は島崎さんを見ることが出来るこの瞳に、感謝しようと思う。