第1章 夢で会ったキミへ
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「で、アイツは誰なんだ?」
『いや…その…』
「なんだ。ハッキリ言え」
土方さんに急に怖い顔をして聞いてくるから私は返答に困った。
誰なのかと聞かれても…答えに困ってします。
彼は…
夢の中であった人
後ろ姿を見ただけで胸が締め付けられるほど苦しくなった人
彼の顔を思い出せばまた会いたくなる
この感情は一体なんなんだろう
私と彼は一体どゆう関係なんだろう…
『えっと…多分、私にとって大切な人なんだと…思います』
「大切な人?…あの野郎がか」
"大切な人"
その言葉がしっくりきて、私は土方さんの言葉に相槌を打った。
『大切な人だった、気がするんです。会った時に胸が締め付けられるよーな…私もよく分からなくて』
でも、それはきっと彼"坂田銀時"だけじゃないと思う。夢の中で出会った他の三人も…それぞれ大切な人だった。
『あの人の後ろ姿を見た時…胸がすごく苦しくて』
この感情は…なんて言葉に表せばいいんだろう。
真選組のみんなに抱く感情とも違う。
「お前…それって」
───ダンッ!!
突然の音に驚き肩が跳ねた。土方さんも同じように驚いた表情を浮かべている。何事かと視線を向ければ、総悟がテーブルを叩きつけ立ち上がっていた。
『ちょ、どーしたのって──…あぁ!お茶!足にかかってるじゃん』
衝撃でテーブルの上に置いてあった熱々の湯呑みがひっくり返っている。熱々のお茶が総悟のズボンにひっかかり、私は急いでテーブルの布巾に手を伸ばし握る。
『大丈夫!?熱くなかっ…』
──バシンッッッ‼︎‼︎
ズボンに伸ばした手に一瞬走った痛み。
え?っと目を白黒にさせた。
ゆっくり目を向ければ、ジンジンと熱を帯び赤く腫れた手のひら。
「触んな」