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【仮面ライダー電王】藤色の狂気

第2章 俺、参上!


 良太郎のセリフに「何言ってんの!?」と若干キレ気味で返す女性。はダメだこりゃと半分諦めた顔。良太郎の拾ったパスが彼女にとって大切なものと聞いて少し同情したような表情になり、どうにかして返してやれないかと考えたが、行先の関係上良太郎が左へ曲がったことにより思考回路は停止する。
「ごめんなさいまた後で!!」
「え!?ちょっと!待ってよー!!」
 ここで電車とお別れになると、は顔だけ後ろを向いて謝った。女性は届かないであろうに必死に手を伸ばして待ってと乞うが、良太郎から謎の白い砂が宙を舞ったことで彼女の表情は一気に変化した。
「え………まさか──」

 ある程度進んだ距離で良太郎は自転車を止める。疲れた様子で自転車から降りると、さっき起きたことが信じられないまま手押しで歩き出すと、いつかのチンピラどもが階段を降りた先に屯していた。
「…良太郎?…何?こいつら」
「えっ…と……」
 良太郎が答えるまでもなくチンピラどもが話を進めていくと、どうやら良太郎が哲男という人のキーホルダーを盗ったと思われているらしい。
「え?気キーホルダー?…いや、全然知らないし。ごめん、今急いでるから」
 危険を察知して良太郎とがその場から去ると、チンピラどももその後を追って走ってくる。

「なんか…不自然なくらい次から次に……本当に僕に何か憑いてるんじゃ……」


  ──ああ、憑いてるぜ この俺が


「──え…」
「──良太郎!!前!!」
 の叫びも虚しく、良太郎は目の前のリヤカーに気づかないで突進した結果、自転車から転がり落ちてしまう。
「ちょっと良太郎、大丈夫!?」
 すかさず近寄って上半身を支えてやると、すぐさまチンピラ3人の到来。状況はまさにピンチ。
 いちゃもんつけて良太郎の胸倉をチンピラの1人が掴んだ途端、の中で何かが切れた。

「ぐふっ…!?」
「あ、ちょ…!」
 服を掴んでいた1人が急に腹を抱えて蹲り始めた。──それはがそいつを蹴飛ばしたから。鳩尾をしっかり狙って。
「──何なんです黙って聞いてれば良太郎がキーホルダー盗んだだの泥棒だの言いがかりつけて……」
その目は狂気に囚われ、光なく虚ろに澱めいていた。
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