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【仮面ライダー電王】藤色の狂気

第2章 俺、参上!


「いや〜、良太郎君の運の悪さはギネス級ですね」
 尾崎の爆弾発言に愛理の機嫌はムッと顔に出るほど悪くなった。言葉選び失敗したな、とが心の中で合掌してやる。
 コトッと小気味良い音がした方向へ振り向くと、カウンターテーブルの上にひじきが大部分を占めているサラダを載せた大皿が置かれていた。
「ひじきサラダ……?」
「そう」
「あ、ありがとう……」
 顔が引き攣っているところを見るに、見た目もそうだが味に関しても微妙さを感じているのが分かる。
(愛理さん、味覚音痴みたいなところあるからねぇ……)
 なんて思いながら未だついている砂を払ってやろうと良太郎に近づくと、彼のポケットに先程拾ったパスが入っていることに気づく。
「良太郎、そのパス……」
「え?あっ、まずい持ってきちゃった…!!」
 パスのことをすっかり忘れていた良太郎は、血相を変えてミルクディッパーを飛び出す。は咄嗟に良太郎の後を追い、見失わないように走る速度を上げた。
「悪いことしちゃったなぁ……落とした人今頃探してるよ」
 良太郎が自転車、が走りで交番へ急ぐと、突然何処からともなく電車が現れた。それも道中に。
「街中に電車……!?」
「うわぁぁ!?」
 双方目を見開いてとてつもなく吃驚している。それもそうであろう、いきなり街中に、しかも道路に電車が現れて自分の隣を走られたら、誰だって吃驚するものだ。
 電車はどんどん進んでいくと、途中で開いているドアから顔を出した女性のいる車両が良太郎との位置と合致したところで彼らと等速となった。
「ねぇ、ちょっと!!」
「なんで電車がこんなところに……!?」
「ていうかこの人誰……」
 それぞれ思うことを口々にすると、再び女性は良太郎達に問いかける。
「ねぇ、パス拾ったでしょ!?それ私のなの!返してくれるかな!?黒いケースのパス!!」
「え、それって…」
「落し物は交番に行ってくださぁい!!」
 は彼女の言ったことに察しがついたのか、すぐ近くを走る良太郎のズボンのポケットを見た。一方当の本人はパニックによるものなのか、ある意味正当な返しをしているのだが、言われたことに対しては割と的はずれな返答をしている。
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