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【仮面ライダー電王】藤色の狂気

第2章 俺、参上!



 修理店に届けた後、良太郎が心配で迎えに行ったのはいいが、彼の手にはコーヒーのカップと何故か持ち物が増えていた。
「…良太郎、何があった?」
「…いや、僕にも何が何だか……」
 訳が分からないまま修理店に向かうと、ちょうどタイヤの空気が入れ終わったところだった。良太郎は交番へ行った時に起きた出来事を思い出してかやっぱり錯覚だよなと呟いた。からしてみればその場に居合わせていなかったためなんの事かとなるが、良太郎になんの支障も無いのなら別にいいかと聞き流す。
 ふと携帯で時間を確認したが「あっ」と声を漏らす。
「良太郎、時間」
「え?……うわ!遅刻だ!」
 に言われて腕時計を見ると、約束の時間が過ぎていたのか顔面蒼白になって自転車を動かす。その拍子に何か轢いたような気がするが、今の二人には急いでいるためそれすら気にする余裕がなかった。

 駆けつけた場所はミルクディッパー。良太郎の姉・愛理が経営するライブラリーカフェである。良太郎とはここでアルバイトをしており、少しでも姉の手伝いをしているのだ(の場合は良太郎と一緒にいる時間を増やすため)。
「姉さん!遅れてごめん!」
「今来ました〜」
 ほぼ同タイミングでカフェに入ると、店内にいた三浦と尾崎が心配(している体)で良太郎に駆け寄る。
「どうしたんだい良太郎くん!」
「うわぁ〜、こりゃまた派手に」
 とても態とらしい。声色を聞けばわかるようにとても態とらしいのだ。それもそのはずこの二人、愛理の気を引こうと弟の良太郎にも気さくに接して好感度を稼いでる”つもり”なのだ。実際愛理はそんな二人をかるーく突き飛ばして良太郎に駆け寄ったが。
「良ちゃん、今日は何?マンホールに落ちた?それともこの間みたいに三輪車に撥ねらちゃった?」
 とても痛々しそうに良太郎の心配をしている愛理は、弟想いで優しい姉だ。しかし、それがどうしても心の奥で何かが引っかかっているかのようにには素直に受け入れられなかった。
(愛理さんは良太郎の姉なんだし、これくらい……どうってこと……)
 そう言い聞かせても、拳に込められた力は解くことをしない。無意識のうちに手は、スカートに偲ばせていたナイフを掴んでいた。そこでハッとして、ようやく体の力を抜いた。


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