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【仮面ライダー電王】藤色の狂気

第2章 俺、参上!


 かなり離れた場所まで走ってきたは、走り疲れてその場に四つん這いになっている良太郎の背中に優しく触れ、落ち着くようにと摩る。
 何か聞こえたのか、ハッとした様子で顔を上げた良太郎に「どうかしたの?」とが尋ねると……
「うわぁぁ!!」
「っ!?」
 近くに足と体が上下逆の位置で現れた鬼の容姿のような怪物?に吃驚して立ち退いた。も(どちらかといえば良太郎の叫び声に)驚いて彼が向いている方向に目をやる。
「妙なやつだなぁ……まいいや、今から決まり事を言うからな」
 咳払いをして
「お前の望みを言え。どんな望みも叶えてやろう。お前が払う代償はたった一つ……おい」
 決まり事とやらを喋っている最中に良太郎はどんどん後退る。同時に喋っていた砂の怪物もどんどん近づいてくる。
「悪霊退散!悪霊退散!」
「誰が悪霊だこの野郎!」
「悪霊というか見た目完全鬼……」
 悪霊と判断した良太郎がそう叫べば、忽ち悪霊退散と言われた砂の怪物は自分が悪霊ではないと反論する。確かに悪霊ではないが人でもないと、どちらかと言えば鬼に近いと言うの前に、見覚えのある女性が良太郎の中にいるのはそういう種類のものじゃないと言う。
「あなた、電車の……」
「あの時気づくべきだったんだよね。君が……特別な存在、特異点だって」
「え?とくい…?」
「特異点〜!?マジかよぉぉ最悪じゃねぇか!」
 「特異点」。そう言われた良太郎は何のことか分からず首を傾げるが、砂の怪物は何か知っているのだろう。自分の憑いた契約者が特異点だということに肩を落としてあからさまに落胆している。

「見つけた。──君なら、電王になれる!」
「えっ…?」

 良太郎の背後にまで歩いてきた女性がそう言うと、いきなり強い風と白い砂が舞い上がった。


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