第2章 俺、参上!
振り向いた先から出てきたのは、迷彩柄の上着を着た男だった。
「返せ……!」
覚束無い足取りで、フラフラとこちらに近づいてくる。白い砂がチラチラと見えることから、女性は警戒して現れた男を睨みつける。
「こいつ……」
「返せぇ…!」
どんどん白い砂が溢れて、遂には先程の鬼っぽい怪物と同様、上下逆さに新たな怪物が現れ始めた。それは青色の蝙蝠のような怪物が出現して、後ろにいた男は意識を失って倒れた。
「怪物…!?」
狼狽える良太郎をは前に出て庇うように立つ。
「なるほど、特異点か。潰すしかないな!」
突っ込んできた怪物からは良太郎の腕を掴んで自分ごと避ける。確認すると近くにいた女性は反対方向に避けていた。
気絶して倒れそうな良太郎を支えると離れていた女性もこちらへ来て良太郎を支えた。
「良太郎!大丈夫!?」
「しっかりして!ねぇ、あのパス、持ってるよね!?」
「え?」
急にパスのことを聞かれ、良太郎は思わず頓狂な声を出した。
「あれを使って変身するの!」
「変身……?」
「あいつと戦って!」
「──危ない!」
が告げた瞬間、3人の元に超音波のような攻撃が飛んでくる。思わぬ不意打ちをくらった3人はそのまま一緒に飛ばされた。
「戦うのよ!」
「無理だよ……っ」
すぐに立ち上がった女性は前に出で立ち、良太郎に諭したものの、弱気な彼は出来ないと言う。もで良太郎にそんな危ないことさせていいのか葛藤していた。
「良太郎……」
ふと名前を呼ばれて視線をに移した。いつも自分のために危険なことでさえ立ち向かっていき、守り通してくれた。心のどこかで”やらなきゃ”という思いが溢れて立ち上がった良太郎が変身と叫べば、腰周りに光が走って繋がれていない中途半端な状態のベルトが現れた。
「え…」
「…もう!」
痺れを切らした女性がベルトを繋ぐと、良太郎は腰を捻った際にパスを翳したようで派手な光と共に変身していた。
「何これ…」
「ぼーっとしてないで!来るよ!」
訳が分からず挙動不審になる良太郎に、女性は慌てて前を向かせた。途端に突っ込んで一撃を入れてきた怪物に良太郎がダメージを受けて転がる。
「良太郎!!」
焦ったような表情を浮かべ、瞬時にナイフを握って怪物に狙いを定める。