第1章 ラキオ【数値化できないもの】
ある日の出来事だ。
いや、とは毎日似たようなやりとりをしていた気がする。は、よくいろんな人に話しかけていた。媚びを売るのが得意なやつ。SQやククルシカもと似通ってる点はなくもないが…アイツらとは少し違った。
オトメほど賢くはないし、SQほど馬鹿でもなければ、ククルシカほど演技が上手いわけでもない。
色んな人から好かれていた。彼女もカリスマ性が無いわけではないと思っている。…こんなことで能を認めたくはないが、の出した意見に賛同する人は多かった。僕がグノーシアだったら間違いなく彼女を襲っていただろう。
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「ラキオ、何してるの?」
自由時間ができた時、は決まって僕の部屋に来るのだった。ただでさえ会議の話し合いで疲れて、1人になれる時間ができたというのに。…ああ、先に言っておくが、会議といっても『内容のあるもの』とは一言も言ってないからね。話のわかるやつもいるっちゃいるけど、勘とか好き嫌いとかで人を疑う奴もいるンだから、実に非効率的…他に方法があれば僕はとっくに試しているんだけどね。『グノーシア』という共通の敵がいる以上、仕方なく団結して仕方なく味方でいるけれど、本来なら関わりたくない。
「研究。先に言っとくけど、『何の研究?』って質問は受け付けないよ。言っても君に理解できると思えないから」
毎度毎度遊びに来るに冷たく言い放ってやった。あくまでも口先だけだ。本気で嫌いなやつが来たら、それこそ有無を言わさず僕の部屋からつまみ出してるところだ。
こう言えば勝手に帰ると思っていた。人間ってやつは少しキツくあたるだけですぐに悄げるンだ。感情に振り回されて、大変そうだよね。
「た、確かに…でも興味あるから来ちゃうんだよね。邪魔しないからいてもいい?」
… は意外としぶといやつだった。ただふわふわしてるだけのようにも見えるのだが、妙なところで頑固だったり知恵を発揮するのだから。無駄が多いし、とことん可愛くない奴だ。
だけど、彼女といて退屈はなかった。