第2章 沙明【幸せな夢を求めて】
「…お前、それマジで言ってんの?は人間だろうが…」
途中まで言いかけたが、『生き延びろ』だなんて、グノーシアの俺が言える権利は無かった。それもそうだ……俺が俺を保っていられるのも、時間の問題なんだからよ。
「どうせ消えちゃうくらいなら一緒におねんねしたいなぁって言うのが私の案だよ。私が沙明そばに居るから。…沙明に辛い想いは、もうさせたくない。1人にはさせない。」
は俺の目をじっと見つめてきた。
どうしようもできないまま終焉をむかえるくらいなら…コイツと寝るのもアリかもしれねェ。というか、これが1番幸せなんじゃないかとすら思えてくる。
「…お前は、ホントにそれでいいのかよ」
「うんっ……私は、沙明と一緒がいい」
の鼻からズビッと音がなった。今更ながらひでェ顔しやがる。瞼は腫れてるし鼻すすりすぎたからか、鼻も赤い。
ここまで泣かせたのは、俺の責任だ。
「わぁーったよ…………俺も、となら別に…いや、お前と一緒がイイ」
「ほ、ほんと…?」
「あァ…だからさ、もうそんな泣くんじゃねェよ。こうして喋れるのも今のうちだ。辛気くせーのは無しにして、笑おうや」
そう言って、俺は両手での頬に触れた。柔らかくて暖かい。突然顔に触れられたことに一瞬驚いていたが、は俺の顔をじっと見て、幸せそうに微笑んだ。
「うんっ……!」
もっと二人の時間を楽しみたかった。
だが、あまりチンたらしてっと
マジでを消しかねない…それだけは避けたかったから、俺達は早い目にコールドスリープ室へ向かった。
ポッドのドアを開ける。
航内で唯一のグノーシアとなった今、この宇宙船を自由に操作できるようになった。
寝るだけなのに、大袈裟な機械音と共に起動する。