第3章 ~転機~
私はトボトボしながら
玄関を開けた
「おねーちゃん!」
元太がバタバタと駆け寄ってくる
だけどそれに答える元気がない
だって、今かなりショック・・・・・・
「お姉ちゃん!おめでとう」
え?
おめでとうって何?
今日あたし誕生日だっけ?
「受かったわよ、ことり」
ママがそういって
合格発表の書類を私に見せた
『重本ことり様。 合格』
たしかに合格の文字
私、受かったんだ・・・・・・
「う・・・・・・嬉しい~」
私はママから紙を受け取って
ギュッと抱きしめた
私、受かったんだ!受かったんだ~
「よかったわね、実技審査も頑張って」
「・・・・・・実技審査」
そうだ
これでアイドルになれるわけじゃないんだ
次は実技審査があったんだ
どうしよう、何しよう
何で、アピールすればいいの?
――――――・・・・・・
「ことり、第一次審査合格おめでとう」
「ありがとうパパ」
パパがポンポンと私の頭を撫でた
「ねぇパパ、実技審査って何すればいいんだろう?」
「実技?」
「そう、次は実際に審査員の先生の前で色々やらなきゃいけないの」
私が聞くと
パパは「う~ん・・・・・・」と困ったような顔をした
「勇気たちはスカウトだったから分かんないよ
ことり、ことりが自信があることをやればいいのよ」
ママに言われて私は考えてみた
自信・・・・・・かぁ
パパはスカウトだったから
オーディション受けてないんだよね
凄いなぁスカウトって
よっぽどパパたちって凄かったんだ
「ねぇ、パパたちはどうやってユニット組んでデビューまで持っていったの?」
「え?パパたち?」
パパは「パパたちはなー・・・・・・」と考え出した
昔、パパたちも苦労したらしい
苦労して苦労して、今トップアーティストまでこれたらしい