第3章 音柱邸
暢気なの声が響いた。
「突然飛び出して来たので、防御壁を張ったのですが、勢いが凄すぎて衝撃で気絶してしまったんです。」
「あ、もうこれ要らないですね。」
と呟くと光の壁はかき消された。
「食用に出来るなら血抜きをしたいので川まで運びたいのですが…。」
現状を受け止め切れずに、皆が呆然とするなか、気を取り直した宇髄が答える。
「ああ。食えるから運ぶか。煉獄、手伝え。」
宇髄に促された煉獄も続いて答える。
「うむ…。了解した。」
釈然としないといった表情を浮かべていた。
宇髄が何処からか取り出された紐で猪の四肢を縛り、しっかりとした木の枝にくくりつけた。
「川まで戻るぞ。お前らも今日は引き上げろ。」
嫁3人にも声を掛ける。
男2人がかりで猪を担ぎ川まで移動する。
女4人は大量に採取した山菜の籠を抱えて後に続く。
何とも言い難い空気が流れる。
川辺に戻り猪を浅瀬に浸けると、は宇髄に何か刃物を貸して欲しいと頼む。
「これでいいか?」
着物の袖から苦無を取り出してへ渡すと、ありがとうございますと礼を言われる。
猪の首に苦無をつきたて、頸動脈を切り開き水に浸す。
慣れた手つきだなと、宇髄は感心した。
「暫く血抜きをしてから解体しますね。あ、後でしっかりした刃物をお借りしたいです。」
微笑みながら言うに一同は戸惑っていた。
「あの!お昼ご飯にしましょう!」
須磨が大きな声で提案をする。
太陽はもう真上に昇っていた。
猪からは距離をとり、皆でお握りを囲む。
竹筒に入れた茶を飲み、食事をはじめる。
「うまい!」
相変わらずの煉獄の大声にほっとした空気が流れる。
お握りの具は数種類用意していた。
それぞれ具の量も塩加減も絶妙で、食が進む。
ほとんど食べ尽くした頃に須磨がに尋ねる。
「さっきの光る壁、なんだったんですか!!何かすごかったです!!」
「障壁を作り出す奇跡です。」
は答える。
「奇跡?」
首を傾げるまきをに、自分の生まれた世界の事、生業、世界を渡った経緯を説明する。
そして、あの列車での出会い、現在煉獄の屋敷で働いている理由を続けた。