第3章 音柱邸
振り向いたの林檎の様な頬と、驚き見開いた瞳を見た煉獄も顔を赤くする。
思わず顔を背けると、羞恥心がわいてくる。
無言になり、少し浮わついた様な空気の中、宇髄邸へと歩みを進める2人。
時間がとても長く感じ、道のりは果てしない様な気になる。
「も、もうじきだ。疲れてはいないか?」
上擦ったような声で尋ねる煉獄。
「はい!大丈夫です。遠征で歩き慣れているので!」普段よりも少し高い声で答える。
むず痒い雰囲気が、2人の頬の熱を引かせてはくれない。
目的地にたどり着くまでに赤みが引くのを願う。
「あ、もしかしてあちらのお宅ですか?」
木々の中に見えてきた建物に気付き声をあげる。
「ああ!そうだ。やっと着いたな!」
何とか顔の熱が引いた2人の前には、宇髄の屋敷があった。
「少し緊張します。」
普段よりも幾分強張った声で話すの頭にポンと手のひらを乗せる煉獄。
「大丈夫。」
弟にする様に励ましの言葉をかけた。
少しむず痒いような暖かいようなふんわりとした気持ちがを包んだ。
「頼もう!」
玄関の前で大きな声をあげる煉獄。
彼の声の大きさに慣れてきたとは言え、びくりと肩を揺らす。
右隣に立つ煉獄の顔を見上げる。
「おう!来たか煉獄!相変わらず派手な挨拶だな!」
いつの間にか目の前に立つ巨躯に驚く。
筋肉質な体から目線を上に向けると、整った顔の左目に化粧が施され、キラキラと飾られた額当てと髪飾り。
「久方ぶりだな!宇髄!世話になる!」
親しげな煉獄の様子から、この御仁が音柱の宇髄なのだと知る。
「初めまして、と申します。この度はお世話になります。」
深々と頭を下げる。
その様子を見てニヤリと笑みをこぼす宇髄。
「いや、気にするな。家の嫁達も楽しみにしていたんだ。よろしくな!」
「これは奥方達へ渡してくれないか?」
煉獄が右手に抱えていた風呂敷包みを宇髄に手渡す。
途中の町で買った団子や練りきりが入っている。
「お。悪いな。あいつらも喜ぶ。」
礼を言いつつ、踵を返し玄関の引き戸を開ける。
「まあ、取り合えず上がってくれ。茶でも飲みながらあいつらに紹介するからよ。」
カラカラと笑いながら宇髄は屋敷へと招き入れる。