第2章 不仲
「じゃあ私は先に行ってるからバーボンは男が入ってきたら後から来て」
「分かりました」
バタン、とドアを閉めてバーへ入っていくを安室は静かに見ていた。
安室は自分の愛車にカーディナルが乗ったというだけでも嫌だった。
だが結局帰りも送らなければいけないので掃除はその後にしようと考えていた。
が出ていって数分して、目標の男がバーへと入った。
安室はそれを確認してから自分も中へと入った。
カウンターでと目標の男が話しているのを確認してから安室は少し2人から離れた席へとついた。
男が入ってまだそれほど時間が経っていないのに親密に話すの様子に安室は気に食わないながらもその技術を認めていた。
「レイラちゃんはどうしてウチの会社に興味があるんだい?」
「社長さんのところの商品をよく使用させてもらってるんです。効き目にハズレがありませんから」
「レイラちゃんまだ大学生だよね?それなのにウチの薬をそんなに使ってくれてるなんて、意外と遊んでるだね」
「嫌ですか?遊んでるような女は」
「いや、君みたいな綺麗な子なら僕も遊びたくなっちゃうなあ」
ここにきてようやく安室は今回の目標の相手が媚薬の製造会社の社長だということに気づいた。
同行者がカーディナルだったわけも相手の男の年齢からして誘いやすい対象であり、何より彼女の美貌を利用したという訳だ。
連れ去られそうになったら止めろ、と言うことか。
安室はそこまで分かってカーディナルにぴったりな役割だなと思った。
「でも、一つだけ物足りない所があって、」
「なんだい?これからの改善点にするから是非聞かせてくれないか」
「社長さんの前で言うのもどうかと思うんですが、」
「いいよ、なんでも言って」
は手元を口に寄せて男の耳元で囁く。
「ちょっと足りないんです、刺激が」
男はそれを聞いた直後に興奮が抑えられないというように口角が上がるのを感じた。
そしてポケットから1枚のカードを取り出した。
「僕、君のこと気に入っちゃったよ。もっと君のことを知りたい。だからこのカードをあげる。来週のこの時間、僕の会社に来てくれ。このカードを受付に見せればある部屋に案内されるはずだから。」
秘密だよ、と男はの手に自分の手を重ねた。