第1章 組織で生まれた子
高校に入ってはコードネームが与えられた。
─カーディナル─
実を言うとこれはが自ら決めた名前だった。
コードネームが与えられたと言ってもは未だ学生。ベルモットが深く組織に関わって欲しく無いと思っていることを知っていたは時間の空いた時に軽くハッキングをする程度だった。
そしてこの頃からベルモットが感じた違和感。それはジンのに対する執着だった。最初はの能力に対しての興味だと思っていた。
それが能力に対してではなく自身になのだと気づいたのはふとジンの部屋に書類を届けようとした時だった。
何の変哲もない平日の朝、ベルモットはジンの部屋から出てくるを見たのだ。その光景だけでも驚いたというのに、その後ジンが軽く微笑んでにキスをするのを見てベルモットは言葉を失った。
ベルモットとジンはかつて何度か関係を持った事がある。しかしそれはお互いにとってほんの欲の満たし合いにしか過ぎなかった。だから2人はキスをした事がなかった。1度ベルモットがそれを求めたのだがジンは拒んだ。
だが今はジンからにキスをしていた。つまりジンにとってはただの性処理の女とかそんな軽い存在では無いということだ。ジンがを軽々しく扱うこと自体がありえないのかもしれないが、が高校に入ってから女関係がめっきり途絶えたのはこういうことだったのかとベルモットは1人納得した。
だがベルモットにとってジンがをそういう対象にするとは思ってもなかったのだ。それはにも同じことが言えた。彼女の恋愛は自由であるがその相手がジンともなると見過ごすことは出来なかった。
高校の制服を来て廊下を進むはベルモットの存在に気づき多少驚いた表情を浮かべた。
「、ジンと付き合ってるの?」
ベルモットはの目を見た。
「付き合ってないよ」
そう言ったは嘘をついているようには見えなかった。
でもジンのあの表情は、あのキスは…
ベルモットが次に続く言葉を見つけられなくてはそれに気づいた。
「ベルモットは嫌?」