第3章 シルバーブレット
コナンがを引き留めようとするのも無視して安室はをレジへと案内する。
「728円になります」
が1000円札を出して安室がレシートと一緒にお釣りを渡す。
「────」
今、何か言ったのか?
コナンは安室の声こそ聞こえなかったが僅かに口元が動いたように見えた。
表情はいつもの笑顔のまま。
「ありがとうございました!」
そう言ってを送り出す。
レジを確認した安室はコナンの方を振り向く。
「ごめんねコナン君、あの女性、急いでいるように見えたから」
安室はコナンの身長に合わせて体を屈ませ申し訳なさそうに謝る。
「ううん、大丈夫…。僕もそろそろ蘭姉ちゃん帰ってくるから帰るね!」
コナンはポアロを出る。
だが足の方向は2階の毛利探偵事務所とは真逆の方向を向く。
『今日は博士の家でご飯食べてくるから、夜ご飯大丈夫!』
コナンは蘭にメールを入れると今度は電話帳を開く。
数秒の呼び出し音の後、「何」と不機嫌そうな声が電話の向こうから聞こえる。
「悪い灰原、少し気になることがあって」
そう告げるコナンの声は決して穏やかとは言えなかった。
ポアロを出たはそのままアジトへ向かった。
自室に入ってカバンをソファーに乱雑に投げたは浴室へと向かう。
ザーッとシャワーに打たれながら段々とさっきまでの記憶が蘇ってくる。
はポアロの店内を頭に浮かべた。
いつも目の前を通る時にチラリと横目に見るだけだったポアロ。
外装からいいお店なのだろうと思っていたけれど、中はもっと良い雰囲気だった。
一生立ち入ることは無いだろうと思っていた、その場所。
あの少年に連れられた時は焦った。
だがその後に心の奥から込み上げてきたのは、否定できないほどの
嬉しさ
でも、
やっぱりもっと早く立ち去るべきだったのだ
私は入ってはいけなかった。
「どこまで僕のテリトリーに入ってくるんですか?」
笑ってた。
そんな笑顔、組織じゃ見たこと無かった。
でも、
目は笑ってなかったね。
いつも私を見る時の、軽蔑の目。
大丈夫、
慣れてる
そうさせたのは私