第3章 シルバーブレット
「知り合いの店って、この喫茶店?」
「そうだよ!」
コナンは足を踏み入れない様子の彼女を見て、ポアロの扉を開ける。
カラン、コロンとベルの音がなって、コーヒーの匂いが扉の外にも溢れてくる。
初めて見た、ポアロの店内。
「いらっしゃいませー!あっ、コナン君!」
笑顔で2人を出迎えた榎本梓はコナンの姿に気づき、さらに笑みを浮かべる。
そしてコナンの隣にいる、中々店内に入らない女性を見て違和感を覚えるも、直ぐに足の怪我に気づく。
「梓姉ちゃん!このお姉さん、僕を庇って怪我をしたんだ!手当てしてもらってもいい?」
「もちろん!どうぞこちらへ!」
梓は彼女を店内へ引き入れる。
彼女はキョロキョロと店内を見回しながらテーブル席に案内される。
「出来ました!と言っても簡単な処置ですけど、」
「いえいえ、わざわざありがとうございます」
梓が救急箱を持って厨房へと戻る。
「本当にありがとうお姉さん」
「ううん、こちらこそありがとう」
そう言って彼女は席を立とうとする。
その様子が、コナンには彼女が早くこの店を出たがっているように見えた。
「お姉さんお名前なんて言うの?」
「え?」
「僕、お姉さんに何かお礼したくて」
「いいよ、こんなにしてもらってるし」
「じゃあ、もっとお姉さんとお話したい!」
「お話?」
「お姉さんすっごく強くてかっこよかったから、どうしてそんなに強いのかなって!」
コナンは好奇心に満ちたキラキラとした目を彼女に向ける。
彼女は少し考えた後、コナンを見て微笑み、席に座り直した。
「私はよ。坊やは?」
「僕は江戸川コナン!」
「コナン?面白い名前ね」
「あはは、よく言われるよ」
はテーブルに置いてあったメニューを手に取ると梓を呼んだ。
「アイスティーと、コナン君は何飲む?」
「僕オレンジジュース!」
「あれ?アイスコーヒーじゃなくていいの?」
「う、うん!」
コナンは少し焦ったように梓に告げた。
「コナン君は今小学生?」
「うん!さんは?」
「私は大学生」
コナンはそうなんだ~と言いながら大学生にしてはあまりに独特の雰囲気を漂わせているなと感じた。