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カーディナルの片想い【名探偵コナン】

第3章 シルバーブレット


コナンは咄嗟に体勢を戻そうとするがそんな時間はなかった。
大怪我は免れないと目を瞑ってまもなく来るであろう壮絶な痛みを待った。

「危ない…!!」

そんな慌てた声が聞こえ、その直後誰かに抱きしめられ地面をズサッーッ!と滑る。
だがコナンに痛みはなかった。
地面に擦れる音は自分がぶつかった音ではない。

コナンがハッと目を開けると自分を腕の中に抱き締める1人の女性。

「お姉さん、だいじょ…」

「ごめんね、ちょっと待ってて…!!」

コナンが自分を助けてくれたであろうその女性に心配の声を掛けようとすると、それを遮り、彼女はカバンを置いて走り出した。

無駄のない、俊敏な動き。
彼女が追いかけたのは、さっきまでコナンが追っていた通り魔。

彼女に気づいた通り魔がナイフを振りかざすが、それをいとも簡単に避けて手首を捻ると、その男はナイフを落とす。
その隙に彼女は腹部に数発の突き、顔面に回し蹴りを入れた。
男が気絶し倒れ込む。

それを確認すると彼女はコナンの方へ戻ってきた。

コナンは唖然としていた。
彼女の動きが、あまりにも並外れていたからだ。

「坊や、大丈夫?」

「僕は大丈夫。助けてくれてありがとう。お姉さんこそ大丈夫?」

「私は大丈夫だよ。でもね、坊や、あんな危ない奴を1人で追いかけようなんて思っちゃダメだよ。」

「ごめんなさい…」

「けれど、その勇気と行動力は素晴らしいと思うわ」

その女性は優しく微笑んでポンポンとコナンの頭を撫でる。
それが恥ずかしくてコナンは視線を下に逸らす。

その時に見えた彼女の脚。
コンクリートの地面に擦れて出来た傷が、血を滲ませて縦に数本現れていた。

「お姉さん、足!怪我してるよ!」

「あ、ホント。でも大丈夫、これぐらいなんともないわ」

「ダメだよ!僕この近くに知り合いのお店があるんだ、そこで軽く手当てしてもらおうよ!」

コナンはグイッと彼女の服を引っ張る。

「え、ちょっ、ホントに大丈夫だって」

「傷からバイ菌が入ると危ないって先生言ってたよ!」

コナンはわざと子供らしい口調で告げ、歩くスピードを上げていく。
半ば強制的に連行している状態。

コナンは知りたかったのだ。
只者ではない気配のする、この女性を。



「ココだよ!」

コナンが連れてきた場所、ポアロを見てその女性は一瞬瞳に焦りを浮かべた。


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