第2章 不仲
「悪いわね、こんなくだらないことに利用して」
「こんな事しか出来ないもの」
は少し申し訳なさそうに笑った。
「今日はもうない?」
「ええ…、あぁ、そう言えばジンが部屋に来いって」
「そう、ありがとう」
カードよろしくね、と言い残すとは部屋から出て行った。
はジンの部屋の前に着くとコンコン、とドアをノックした。
ドアが開いて人前ではあまり見せることのない帽子を脱いだジンが現れる。
は部屋に入るとドアの鍵を閉めた。
2人掛けのソファーに座るとジンは愛用のゴロワーズに火をつける。はジンの隣に腰掛けた。
「予想通り直接取引してたか」
「変装もしてなかったから余程自信があるんでしょう」
「上手く気に入られたか」
「ええ」
「何もされてねぇだろうな」
「手は握られたけど」
がそう言うとジンは多少まだ残っていた煙草を消しての手を取った。
そして手の甲に優しく口付けた。
「消毒してくれたの?」
「笑わせるな、こんなんじゃ足りねぇよ」
ジンはの頬に手を添えるとそのままキスをした。
最初から舌が入ってきてすぐにの舌はジンに絡め取られる。
さっきまで吸っていた煙草の苦い後味が口内に広がる。
いつしかはその苦さに安心を抱いていた。
「んっ、」
が目を薄ら開くとジンと目が合った。
その目が笑った気がしてジンはより一層口付けを深くした。
息を吸う暇も与えてくれないジンのキスにはジンの胸を叩く。
「はぁっ…」
ようやく開放されたの口は酸素を求める。
呼吸を整えているをジンは横抱きにしてベッドへと向かった。
「ちょっと、下ろして…!」
「少しぐらいじっとできねぇのか」
「自分で歩くから…!」
「こっちの方が早い」
ジンはをベッドに下ろすと慣れた手つきでヒールを脱がせた。
そのまま自身もベッドに上がるとに覆い被さり再びキスを落とす。
歯列をなぞられはビクッと小さく身体を震わせる。
それを見てジンは楽しそうに微笑んだ。