第10章 自問
「俺は、怖くなかったよ。
今告白したけど、後悔なんて
ぜーんぜんしてないもんね」
向井が、大きな手で
私の頭を撫でてくれた。
向井は、すごい。
私が立ち止まっていることを
さらさらとこなしてしまう。
でも、それは向井なりに
悩んだ結果のことだよね。
「には、恋をした人と
幸せになってもらいたい。
これは、ダチとしての願いだよ?」
「向井」
「ん?」
「ありがと」
やっとやっとそう言うと、
向井ははにかんで、
「どういたしまして」
と言った。
そして、頑張れ、と背中を叩いてくれた。