第10章 自問
「じゃあ、もういっそ甘えなよ」
向井が、珍しく優しい目をした。
私の背中を押してくれる声。
でも、どこか寂しいような気もする。
「……俺さ」
「うん」
「のこと好きだったんだよ」
「え!?」
まさかのカミングアウトに、
心臓が止まるかと思った。
だって、向井が私を!?
向井は胡座をかいて、
宙を見ながら言った。
「でもね、櫻井さんのことを
楽しそうに話す見ててさ、
やっぱり、友達だよな~って思ってさ」
全然、気づかなかった。
向井が、向井が……
「俺は、を守るんじゃなくて
支えて、励まして、最高のダチでいたい!」
「……」
笑ってそう言う向井に、
涙が出てきていた。