第13章 恋人
私が嵐さんの楽屋に訪れたのは
別の局での撮影のとき。
つまりそれは、恋人として……。
現にいま、嵐さんがいる楽屋のドアの
手前側にいるわけで。
ドアをノックして「どうぞー」と
言ってもらえれば、入ることができる。
もちろん何度も見ているし、
話したことはないけど翔さんがいるし。
問題があるというわけではないけれど……
何故だろう。
私服だから?
他局だから?
緊張のあまり動悸が異様な激しさでいる。
「よしっ!」
自分にカツを入れて、大きく深呼吸をした。
そして、そっと二回、ドアを叩くと
「はいは~い」
という明るい声がして
ドアが、結構勢いよく開いた。
「翔ちゃんの彼女さん!いらっしゃい」
100点満点の笑顔で、まるで我が家のように
出迎えてくれたのは、ウインクが苦手な
相葉さんだった。