第10章 自問

好きだよ。

好きで好きで好きで

愛しくてたまらない。


これは、恋だよ。

会いたくもなるし、ドキドキもするし
もどかしい想いもする。

だったら、それでいいんじゃないの？





「ダメなの？」
「ダメだろ」

散々自問を続けて、
それを向井に話していると
あっさり突っ込まれた。

「そもそも、本当に恋なの？」
「うーーん、違うの？」
「恋だったらさ、迷う？」


そうだよね、そうなんだよね。

結局ここは、迷うところじゃないし。


「はたださ、
櫻井さんを一人の男として
見られてないんでしょ？」
「……うん」

それに腹が立って、むかつく。
自分の卑怯な気持ちが、いや。


「でもさ～」
「ん？」

「櫻井さんはそれを聞いても、
に腹を立てなかったんでしょ？」
「あ」


そうだ。

櫻井さんは、怒ったり引くどころか

私をちゃんと見て、抱き締めてくれた。


そっか。
そうだよね。


櫻井さんの心の広さに、
どっぷり浸かり過ぎてたんだな、私。

自問なんて、偉そうに言っといて


ただの、自己中な、私か。