第9章 伝授
廊下をうろうろ走ってるけど
迷子になった気分。
「何やってんだ、俺」
櫻井翔だって、気づかれてる。
どこに行けばいいの。
息を切らして時計を見ると
もうあと15分しかない。
正確に言えばあと13分。
自分がアホらしいような気がした。
なんとなく、そんな気がした。
だって、どこにいるかわからない。
こんな広い建物で、どうやって
どうやって彼女を探す気だったの、俺。
「フッ・・・バカだな」
しかも、今いるところは、裏道かなんなのか
全然人がいないし、来たことない。
狭い廊下があるだけ。
「泣きそう・・・」
携帯くらい、もってこればよかった。