第9章 伝授
「会いたい」
「「「「おぉ~~」」」」
ちょっと呟いただけなのに、
なんか拍手もらえちゃった。
「いいかな?」
「どこにいるかわかるの?」
「・・・」
「・・・」
「わかんない」
「そりゃそうだ」
でも、会いたい。
顔が見たい。声が聞きたい。
ちゃんに、会いたい。
「あと30分しか、ないですよ、翔さん?」
「うん、ありがとう」
帽子を取って、とりあえず
廊下に飛び出した。
どこに向かえばいいのかわからない。
建物全体で言ったらバカでかいし
ちゃんがどこにいるかは
さすがにわからない。
でも、四人に背中押されたし、
会えなくても行くしかない。
だって、ちゃんが言った。
『恋をしたっていいんです』
だったら、恋するよ。
「30分か・・・」