第7章 接近
「櫻井さんも、似合います」
「あ、そう?うん、ありがと」
早くお店の人来ないかな、
このビミョーな空気を
「へい、らっしゃっせー」
とか言って明るくしてくれないかな。
「急に、なんかごめんね」
ご丁寧に頭まで下げられた。
「そんな、ワタシなんかでよければ
いつでもどこでも何度でも、ですよ」
どこかで聞いた言葉しか発せられない。
もちろんそれは笑われてもおかしくない。
また櫻井さんに笑われた。
だけど、楽しそうだから
今は、いっかって思っちゃう。
「ご注文は?」
「「ウーロン茶二つ!!」」
勢いよく言えば、櫻井さんとかぶってしまい
目を見開く店員さんは、
何に対して驚いているのだろう。