第7章 接近
そういえば、ここで食事するのは
初めてな気がする。
一般人は入れないようにしてる
的なことを、前言っていたかな……?
ダメだ、この年になると、もう記憶が……(笑)
「遅くなってすみません」
頭を下げながら奥の部屋に入った。
そこではただ胡座で座っている
櫻井さんがいた。
飲み物も食べ物も何もなくて
ただ私を待っていてくれたんだ。
本当に、申し訳ないことをしてしまった。
「あ、いらっしゃい。なんて、
俺の店じゃないんだけどね?」
「すみません……」
櫻井さんの向に座って、
取り敢えずもう一度頭を下げた。
「ははっ。こっちが呼んだんだし、大丈夫だよ」
それに、と爽やかに笑って
付け加える、櫻井さん。
「少し俺が速く来ちゃったんだしね」
時計を見ると、待ち合わせ時間よりも
10分速かった。ちょっと安心。
にしても、やっぱり私もアイドル
との食事なんて緊張するし、
櫻井さんの私服をガン見してしまったり
するわけなので……