第6章 努力
服をそこら中にちらかして
床が見えなくなっている私の部屋。
よくこんなにも服があったなと思う。
だって、こんなピンクのスカート、
いつ買っていつから履いてないか覚えない。
「はい、いい感じ」
「わおー」
鏡に写る、自分。
横に結んだシンプルな髪型の私が
黒色のシュシュをつけている。
ジーパン記事のジャケットの下は
抹茶色のロングスカート。
これぞ、シンプルってかんじ。
さすがは向井。
尊敬しますよ・・・。
「は肌綺麗だよね」
「そう?」
「うん。化粧しないで外食できる20代
後半なんて、そうそういないからね」
「そりゃどうも」
褒められてるのかそうでないのか
よくわからないけど喜ぶだけはタダだから。
顔もろくに洗わないし
メイクなんてここ何年もしてないよ。
最悪、成人式以来かもしれないわ。
化粧品持ってないですから~アハハ
「どこなの?場所は」
「『のぞみ』」
「あ、モダンなお店ね」
「うん」
ソファにどっこいしょ、と座る。
やっぱり、20代後半なんてこんなもん。
「外は美人にできても中までは俺には無理」
向井も隣に座って言った。
「余計なお世話ですから」
「へますんなよ?」
「多分、大丈夫」
「不安だわ~」
「うるさいよ、向井くん」
一番不安なのは私だっての!