第6章 努力
「じゃあ、そろそろ行こうかな」
「気を付けてね」
「帰るときカギしていってね」
「任せなさい!」
玄関で敬礼する向井は
この前カギをせずに帰ってしまい
私が深夜に帰るとカギが開いていた
というプチ事件を起こしてくれた。
「どうせ取られる物ないんでしょ?」
「家ごと取られたらどうすんのさ」
「アハハ、確かにそーだ」
靴を履いて、、
「いってきます」
「いってらっしゃい」
「ありがとうね、本当に助かった」
「どういたしまして」
「部屋片付けておいてね」
「やだね」
「やな奴だな~」
そう言ってドアを閉じた。
外はすっかり薄暗い。
ここからのぞみまでは歩いて5分程度。
でも、外は冷えているし
久しぶりのスカートでスースーする。
知らないうちに猫背になりながらも
歩いて見えてきた、小さな看板。
細い道にあるのぞみは
芸能人の間でも人気な居酒屋である。