第3章 進展
「さん」
「なんでしょうか」
「彼氏とか・・・いるの?」
「彼氏とか・・・ですか」
「うん」
唐突過ぎたかなーこんなの。
いきなり彼氏いるの?なんてね。
今日初めて出会って
いきなり話しかけたら恋のアドバイスで
なんか相談に乗ってもらう約束して
おまけに、可愛いとか
好きになっちゃってるし・・・
こんなの、いや、やっぱり
長年生きてると、人生色々あるな。
「いませんよ」
「あ、そっか」
「今は、恋とか、わからなくて」
「?」
下を向いた彼女は
握った自分の手を見つめている。
「忘れちゃった。色々。何が恋なのかも」
「わかるよ」
「仕事って・・・そういう欠点ですよね」
「だよね」
でも、俺はさんのお陰で
”恋”のドキドキとか
感情とかが思い出せた気がする。
「きっと、くるから」
「なにが?」
「さんにも、きっと、恋がくるから」
「そうですかね」
くるよ。
俺が送ってやる・・・
へたれな翔さんの台詞じゃないか。