第3章 進展
「もう、すみません!」
「え?なに、どうかした?」
「こういうの、言えない人間でして」
雨風に負けない大声で叫んだ。
頭を若干下げたけど・・・
風強すぎでしょー
今にも倒れそうだけど。
何やら警報とか出されてそうだな。
「あの、とりあえず中、入る?」
「ですね」
頭を上げると、櫻井さんの手が
私の頬にやってきた。
「櫻井さん」
「髪が、口に入っちゃってるよ」
それからまた微笑んで
「取れた」
「ありがとうございます」
「さ、行こうか」
「はい」
「転ばないようにね?滑るから」
「はい」
「ここ、少し段差だからね」
「はい」
なんとも紳士的なのだよ、彼は。