第1章 何が起きた
夜蛾さんが電話をしてくれると言っていたし大人しく待とう。
どちらにしろ怒られるのは変わらないだろう。
「着替えられそう?一回外出てるから着替え終わったら声かけて。今つけてる下着はそこにある紙袋に入れて捨てちゃって大丈夫。とりあえず詳細はこの後話するから。」
少しずつ体も動かせる様になったので、ベッドから降りる。
軽くストレッチをして着替え始める。
「着替え終わりました。ありがとうございます。」
ドアを開けて廊下に出ると、壁に寄りかかっている家入さんに声を掛ける。
「体は大丈夫?まだ戻ってこないから座ってて良いよ。飲み物持ってきたから飲みな。」
家入さんからペットボトルのお茶を受け取りベッドに腰掛ける。
頂いたお茶を飲むと、気が抜けたのかお腹の音が鳴る。
「ふふっ、何か食べれそう?食堂があるから後で案内するよ。」
恥ずかしさで真っ赤になりながらお腹をおさえながらお礼を言う。
思いっきりお腹が鳴るなんて、せめて人が居ない時にしてよ…
少ししてから夜蛾さんは戻ってきた。
「すまないが、電話番号が間違ってはいないか?何度かけても繋がらないんだが…」
そう言われ慌てて確認する。
しかし間違えてない、ずっと電話番号は変わってないし流石に家の番号は間違える筈がない。
「そしたら、家まで送って行くから、住所を聞いても良いか?」
住所、と思い先程のメモ帳に書き出す。
それを見た家入さんが、え、と言葉を漏らす。
どうしたのかと思い顔を上げたか、何でもないと言われてしまった。
「…あの、もしかしたら間違えてしまったかもしれないので、自分で電話しても良いですか?後、携帯の充電が切れてしまってコンセントお借りしたいのですが…」
「あぁ、分かった。コンセントはそこのを使ってくれ。歩ける様なら先に電話がある所まで案内するから着いてきてくれ。」
廊下に出るとそこは病院とは言い難い、ホテルとも違う様な。
この場所はよく分からないまま、電話がある場所に着いた。
中に入るとそこには職員室の様な部屋だった。
学校で見た事がある机が並んでいる。
電話もファックス付きの固定電話だった。
廊下からの景色も自分の日常にある、山や森に囲まれた場所のようだ。
本堂の様な建物もあったから近くのお寺さんなのかと考えたが自分の知っている所ではなさそう。
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