第3章 夢じゃなかった
「私の呪力は感じる?気配、とか違和感とか。夜蛾センと私の違う感じあった?」
「…特になかったです。やっぱり私、変なんですか?」
「いや、変ではないよ。稀に自らの意思でそうする奴も居る。生まれ持った術式の場合、力が顕現した時点でその知識も一緒に身につくんだ。やっぱり紫亜の場合は記憶改竄の呪いか術式なのかな。…考えても埒があかないな、とりあえず行くか。ちょっと寄り道させて。」
建物から出て、教室がある校舎まで向かう。
校舎に着くと硝子さんは中に入らず校舎の裏に歩いて行く。
大人しく付いて行くと硝子さんが壁に寄り掛かりポケットから煙草を出す。
「….え、えっ?!」
慣れた手付きで火を付けて煙を吐き出す。
「ちょっと頭使ったから休憩。すぐ終わるから少し待ってて。」
ふ、不良だ…!
驚きで口をパクパクしていると硝子さんが悪い顔をする。
「気になる?紫亜も吸うか?」
硝子さんが咥えていた煙草をこちらに向ける。
「こら、霧乃さんを悪い事に巻き込むんじゃないよ。」
後ろから出てきた手が視界を遮る。
びっくりして後退ると何かにぶつかる。
後ろを振り返ると夏油さんが居た。
「何やってんの、待ってたんだけど。」
「あー悪い悪い、ヤニ切れ。」
「全く…先行ってるから早く来なよ?」
溜息を吐き私の腕を掴み歩き出す。
歩幅が違いすぎて小走りになってしまう。
「げ、夏油さん、怒られないんですか?」
「その辺は平気。まぁこんな所だから緩いんだよね。」
「…凄いですね。でも、煙草吸ってる硝子さん格好良かったなぁ。」
「…興味あるの?煙草。煙とか嫌じゃなかった?」
「無いですっ!家族でも吸ってる人居るので気にならないです。ルールとマナー守ってれば、良いんじゃないかなと。」
「そもそも法律違反だよ…とりあえず校舎の案内するね。1階は道場。2.3階が教室だよ。2階に1.2年で3階は3.4年ね。」