第3章 夢じゃなかった
「元々人助けが私達の仕事だけど、一番は紫亜が嫌な子じゃないから、かな?年下の子が処刑なんて気分悪いし、悪意が有るなら上の指示でもやむなし、って思ったかも知れないけど、話してみたら普通の女の子なんだもん。1年で女子一人ってのもあるけど、後輩とか妹出来た感じでさ。」
ちょっと浮かれてる、照れた様に笑う硝子さん。
その言葉に込み上げてくるものを感じ、涙が溢れだす。
「もしかして私、泣かしちゃった?」
「うぅ〜、硝子さんに、な、泣かされ、ましたぁ。…ありがとう、ございます。本当に助けてくれたのが硝子さん達で良かったです…!」
どういたしまして、と言って頭を撫でてくれる。
手の温かさに、更に涙が溢れる。
「昨日からずっと泣いてるじゃん。水分なくなるよ?」
「本当ですね。こんなに泣いたの赤ちゃん以来かもです。」
「落ち着いてきたね。申し訳ないけど、話続けるね。現状の話を纏めると紫亜が家に帰るのはほぼ不可能。術式を掛けられたならその術師を見つけないといけないし、呪いだったとしても呪いをかけた元凶を祓わないと駄目なんだ。見る限りだと術式も呪いもかかってない。残る可能性として…紫亜の術式だ。」
「…私の、ですか…?」
「昨日、家の事聞いたでしょ?ごめんね、探りいれてたんだ。でも、話聞いた限りでは何とも言い切れない。そもそも時間を移動する術式なんて特殊過ぎるし、聞いた事も無いんだ。ただ、そんな術式は無い、とも言い切れなくて。」
「そうだったんですね…でも、思い当たる事はやっぱり無いです…」
「後は祀ってる神様がどんな神様か、なんだけど分かる?」
「祀ってる神様…ですか。あの、本当に特殊なんですけど、一つだけじゃ無いんです。複数の神様、仏様を祀ってて…八百万の神や仏の名を冠するものは全て。」
「…凄いね。」
「関係、ありますかね…?」
「環境が特殊だから無いとは言い切れないけど…これは引き続き調査だな。最後に一番気になるのが、家の場所だな。昨日のもそうだけど駅からここまで全く同じ。これをどう考えるか…」