第2章 これは夢か
「学費は全額親に返したそうなんですが、どうやって生活してるのやら…両親も犯罪してなければ、とは言いますが…最近はふらっと帰ってきてふらっと出て行くので本当に謎ですね。」
「親も結構緩いんだね…」
「そうでもないんです…うちの親怒ると物凄く怖いんです…兄も今でこそ自由にしてますが、学生の間は無断外泊とか成績だったり約束破ると滅茶苦茶怖いんです…」
「今の状況は完全アウトだな。」
「訳は聞いてくれるので良いんですが、納得出来ないと不貞腐れて旅行行っちゃうんで…そうすると氏子さんの依頼だったり外部のお仕事も全部やらないといけなくなるので…」
「随分パワフルなご両親だね…」
「小さい頃からお手伝いはしてたので難しい事はないですが、時期によっては…兄がたまにやらかしてたので…」
「苦労してんだな。」
「そりゃあ図太くもなる訳だな。」
「ず、図太くないですっ!」
「五条の自己中っぷりよりマシだろ。」
「はぁっ?俺は良いんだよっ!」
「悟はもう少し気遣いを覚えなさい。」
確かに繊細ではないけども、図太くもない筈…!
社家の割には適当な家ではあると思う。
改めて人に話すとやっぱりうちは変なのだろうか…
考え込んでいると欠伸が出た。
「そろそろ寝るか。今日一日疲れただろ。部屋まで送るよ。」
「す、すみません…なんか私ばかり話しちゃって…」
「なかなか面白かったよ。また聞かせてね。」
「俺は興味ないけどな。」
「硝子さんも夏油さんもありがとうございます…!」
「お、れ、は!」
「五条さんはいじわるなので知らないですー!」
「はぁっ?生意気!」
「それ五条には言われたくないわ。夏油ちゃんと教育しろよ。」
「いや、担当じゃないから。勘弁して。」