第2章 これは夢か
お店を出ると硝子さんもちょうど戻ってきた所だった。
揃ったので帰るか、と言ってバス停に向かう。
バスも停留所もやはり同じ物だ。
終点まで乗るのも変わらない。
バスに乗り込み後ろの席に四人並んで座る。
やはり車窓から見える景色はいつも見た物と同じ。
終点に着きバスから降りる。
「ここから2.30分歩くよ。大丈夫?」
「大丈夫です!」
バス停から家までの距離も大体同じなのだろう。
日が暮れようとしていた。
何か今日は色々大変だったな。
外は何もおかしな所はなかった。
今まで見えなかった物が見えるようになっただけ。
辺りを見ながら歩いていると夏油さんに声をかけられる。
「少しは落ち着いたかな?」
「はい、何から何までありがとうございます。」
「良かった。気にするな、って言うのは難しいと思うけど何かあったら気軽に言ってくれていいから。」
「…そうですね。何も変わりないのに家が無いって言われて全然信じられないです…私だけがおかしくなっちゃったのかなって。でも、こうやって色々と助けてもらって本当にありがとうございます。…っわ!」
前を歩いていた五条さんにぶつかる。
立ち止まってどうしたんだろう、前を覗き込む。
そこには一昨日とはまた別の姿をした化物、呪霊がいた。
それを見た瞬間、体が震える。
恐怖で体が固まり動かなくなる。
「下がってろ。傑、硝子そいつ頼んだ。」
「言われなくても。紫亜は傑とくっついてて。私、戦闘専門じゃないんだ。」
「悟なら大丈夫だよ。あいつがダメでも私がいるから、安心して。」
「俺が負けるわけねーだろってーの。」
そう言って呪霊に飛び込む五条さん。
手から何か丸い物を出してぶつける。
その瞬間爆ぜる呪霊の体。
一瞬の事で何が起きたのか分からなかった。
倒したと思ったが呪霊はまだ動いていた。