第2章 これは夢か
硝子さんが封筒から一万円札を出して夏油さんに渡す。
「何でだよ。」
「…あぁ。悟行くよ。」
ムスッとしてる五条さんを引きずりその場を離れる夏油さん。
どうしたんだろ?なんて思っていると
「下着買いに行くよ。流石にあいつ等が居たら気まずいだろ。」
「あ、ありがとうございます…!」
全然気付いてなかった…
確かに男の人に下着を見られるのは恥ずかしい。
硝子さんに感謝する。
「これは大目に買っとこうか。遠慮せず選びな。」
硝子さんはここでも一緒に選んでくれた。
こんなに買ってもらっていいのか、思うも遠慮すると硝子さんがポンポンとカゴに商品を入れてしまうので遠慮が出来ない。
他にも歯ブラシやシャンプー等の雑貨も買いに行く。
とは言え、ここまで私の記憶通りのお店しかない。
帰り道によるデパート、いつも通りの光景。
ちっちゃい化物が居る事が唯一違う所。
自分の家がないなんて信じられない。
「とりあえずこれで買い物は終わりかな?必要な物があったらまた買いに来よう。あいつ等ももうすぐ来るから座って待ってよ。」
「ありがとうございます。本当にありがとうございます。」
「いいって。そういえば何処か違う所はあった?」
「いえ…知ってる所です。余りに同じすぎて自分の家が、学校が無いなんて信じられないです。」
「そうか、帰りは歩いてみるか?バス乗るけど見ておいた方が良いだろ。疲れてたら無理しなくて良いからね。」
「疲れてなんて…良いんですか?むしろ皆さんが疲れちゃうんじゃ…」
「私達は平気だよ。鍛えてるからね。」
「そしたら、お願いします…!」
「何の話だよ。」
ちょうど良く二人が来た。
「帰りは歩きだから。」
「はぁ?何でだよ。」
「何かあったのかい?私は良いけど。」
「紫亜に道案内だよ。嫌なら一人で車で帰れ。」
「だから、嫌とは言ってねぇだろうが!俺も歩きで帰るよ。」