第2章 これは夢か
「…そこで一つ提案なんだが、君をこのまま呪術高専で保護をしたい。保護をしている間に君の所在は調べさせてもらう。それと、君のその呪力も調べさせて貰いたい。」
「私の、呪力…?どういう事ですか?」
「君の呪力は我々の物と違い異質なんだ。ここの結界を破れる程。」
「…それは、私がそれを嫌がった場合は…」
「…身柄を拘束の上収容する。」
目の前が真っ暗になる。
理解が追いつかない。
目が覚めるまで、いやあの化物と遭遇するまでは私はただの中学生だった。
今起こっている事は何だ。
漫画みたいに記憶喪失で帰る場所が分からない、なんて事はない。
ちゃんと記憶はある、自分の事は勿論、家族も友達も全部覚えている。
「何それ、おかしくない?呪力の調査だけに拘束の上収容なんて。」
「それ誰が決めたんだよ。」
「子供相手にちょっと過剰では?」
後ろから発された言葉に顔をあげる。
「だから、お前等に任務だ。一週間霧乃紫亜の監視及び警護。一週間の間に所在、もしくは危険が無いと判断されたら解放だ。」
「任務ってどうせクソな上の連中の指示だろ。」
夜蛾さんはこちらに戻ってくると、申し訳ないと言い頭を撫でる。
私はどうしたらいいのかなんて、考えても意味が無い。
家も何も無い状況で外に出たら露頭に迷って終わりだ。
そもそも外に出してくれるつもりは無いみたいだし。
保護されて家を探して貰えるならそっちの方が良いのでは。
少なくとも夜蛾さんと家入さんは良い人だと思う、黒髪の人も良い人そうだ。
白髪の人はちょっと怖いけど…
でもここに居て本当に家が見つかるのかな。
呪力の調査って言われても私にはそんな物は無い。
もしかしたら私を閉じ込める為に嘘をついているのかもしれない。
いや、普通の女子中学生を閉じ込めるって何なんだ。
私にはそもそもそんな価値はないだろう。
本当に閉じ込めるつもりなら荷物は普通取り上げられるだろう。
夜蛾さんも家入さんも私をすぐに拘束しようともしなかった。
携帯だって手元にあるし、悪い人達だと思うにはおかしな所だらけだ。