第19章 バレンタイン
小さく1人で呟いてから口に運んだ。
「んっ!?何これ!めっちゃウマっ!」
七桜さんってこんなに作るの上手いの!?
本当に売ってるやつみたい!
そう思って浮かれていたら、誰もいないと思ってたのにすぐ近くにバンさんとユキさんがいた。
「あ、百くんおはよう。もしかして、それ七桜から?」
「はいっ!俺も貰っちゃいました。凄く美味しいです!」
「だろうね。七桜が作るのはどれも美味しいから。後で感想言ってあげて」
「はい!」
2人はきっと食べ慣れてるんだろうな...
「モモくん、それスタッフ用と違うね?七桜から直接貰ったの?」
「えっと、はい。すみません!俺なんかが直接貰ったりして」
「七桜があげたんだからいいんだよ。千だって会えば貰えるだろ。百くんごめんね。食べ終わってからでいいから、後で少し手伝ってくれる?」
「はい!やります!いつでも言ってください!」
「じゃあ、後で声かけるね。ゆっくり食べて」
そう言うと、バンさんはユキさんを連れて楽屋へ行ってしまった。
七桜さんは俺にってくれたけど...ユキさんはいい気しないだろうな...
正直、貰えて嬉しい。他のスタッフとは違う物...
ー
「はい、ハッピーバレンタイン!」
万と千が楽屋に来て早々に渡した。
2人のはスタッフと同じマフィンだけど、味が違う紅茶とチョコのマフィンにした。
「七桜、毎年ありがとう」
「七桜、これスタッフ用とは違うけど・・・モモくんのとも違うよね?」
「別にいいでしょ?いらないなら返してよ」
「そんな事言ってない。食べるに決まってる。今年は僕が特別だと思ったのに・・・」
「千、貰ったのに文句言うな。せっかく作ってくれたんだぞ?毎年スタッフ用と俺たちので量もたくさん作って大変なのに、違う物作ってくれてるんだから」
「そうだけど・・・ごめん、あんな言い方して。モモくんが羨ましくて・・・僕も貰えて嬉しいよ、ありがとう」
自分だけ違うのが欲しかったって言われてもな...
文句は言ってたけど、千も美味しいと嬉しそうに食べてくれた。
万はいつも美味しいと言って食べてくれる。
自分が作った物を美味しいと嬉しそうに笑って食べてくれると、作った甲斐もあるし幸せな気持ちになれる。