第19章 バレンタイン
バレンタイン当日。
大量のお菓子を箱に詰めてライブハウスまで向かう。
【スタッフさんへ
ハッピーバレンタイン!1コずつどうぞ!】
とメモを貼り、カウンターに置いておくと近くにいるスタッフに伝えておいた。
スタッフの人たちが私の手作りだとか、毎年楽しみにしてるとか言ってるのが聞こえる。
「七桜さん、毎年こんなに作ってるんですか?凄いなぁ。大変じゃないですか?」
百がスタッフの話を聞いて、感心と心配をしてくれる。
「作るのは好きだし、みんなにはお世話になってるから。量作らないといけないのは、確かに少し大変だけど・・・何作ろうか考える方が大変かな。毎年同じってわけにいかないし」
「そうなんですね。あの、俺も貰ってもいいものですか?」
箱に入ってるお菓子を見てそう言う百を焦って止める。
「待って!百にはこれ。はい、ハッピーバレンタイン!」
「えっ、だって・・・スタッフ用って・・・」
あきらかにスタッフ用とは違うラッピングに百は驚いたみたいだった。
「いいの!これは百に食べて欲しくて作ったから」
「ありがとうございます・・・凄い、嬉しいです!」
受け取ってくれて良かった...
「あ、でも、あんまり人いるところで食べないでね?」
「そうですよね、わかりました!」
「じゃ、また後でね」
「ありがとうございます!」
百と別れて、楽屋に戻り万と千を待つ。
ー 百said ー
七桜さんに言われた通り、人がいなさそうなとこを探して入り口近くの奥の方まで来た。
座って、もらった箱を開けると中には作ったとは思えないくらい可愛いお菓子が入っていた。
(これって、カップケーキであってるのかな・・・)
1つはチョコのクリームでもう1つは生クリームかな?
キラキラしてる粒とハートは星の形をした小さいお菓子と苺が飾り付けされている。
「食べるのもったいない・・・」
そう思って、スマホで写真を撮り保存しておく。
でも、これってスタッフ用とはあきらかに違うよな...
俺がもらってもいいやつだったのかな?
七桜さんが俺に作ってくれたって言ってたし...
スタッフ用のも美味しそうだったけど。
まさか七桜さんから貰えるなんて思ってもなかったな...
嬉しいけど、恥ずかしい...
「いただきます」