第16章 予期せぬ遭遇

七桜さんが心配そうな顔で見てる...

「本当に大丈夫です！七桜さんに心配してもらうことじゃないですから・・・」

「うちは百の心配しちゃダメなの？」

「あ、いや！そんなことはないんですけど・・・」

どうしよう...七桜さんが悲しそうな顔してる...
俺なんかにそんな顔しないで。
でも、もっと色んな顔も見てみたいな...

(って、ダメダメ！何言ってんだよ！俺はただのファン！ちゃんと諦めるって決めたばっかだろ！七桜さんは優しいから心配してくれてるだけ・・・そうだよ)

「百・・・うちは百が心配なだけだよ？誰にでも同じ事するわけじゃない」

「え・・・？」

「優しいから心配してるわけじゃない」

「俺、声に出してました？」

「うん・・・」

「ごめんなさい・・・」

謝ってほしいわけじゃない...何かあったなら話し聞いてあげたいだけなのに...

「何かあった・・・というか、七桜さんに偶然会えて本当凄い嬉しいんです。でも、ユキさんに悪い気がして。素直に喜べないだけなんです・・・」

「何で百が千に悪いと思うの？千は関係なくない？」

「だって、ユキさんと付き合ってるんですよね？俺、誰にも言ったりしませんから！」

こんな形で本当のことを確認するなんて、自分でもズルいと思う。

「ちょっと待って・・・千と付き合ってる人って、まさかうちじゃないよね？そういう噂されてるの？」

「されてないですけど・・・付き合ってないんですか？」

「付き合ってるわけないじゃん！噂されるのも嫌なんだけど。何で付き合ってると思ったの？」

「今日、見たんです。七桜さんとユキさんが一緒に・・・その、デートしてるところ・・・」

「いや、デートじゃないし」

「普段から仲良いし、付き合っててもおかしくないなって。だからてっきりそうなのかと・・・」

「はぁ・・・それは最悪だね・・・」

百があんな顔してたのはそれを心配してたってことか...
千に悪いか...百は千のこと大好きだもんね。

「ご、ごめんなさい！」

何が最悪？怒らせちゃった？

「謝らなくていいよ。最悪なのはそう思われてもおかしくないって思われてることにだから。今日、百に会えてよかった！じゃないと、誤解されたままだったでしょ？」

「そうですね・・・」