第61章 来年に向けて
バンさんとユキにお礼を言って家に入ると、真っ暗で電気がついてなかった。
いないのかな?って思ってると、ソファに顔を伏せてる七桜の姿を見つけた。
寝てる?近づいて見ると、目が少し腫れてて泣いた痕があった。
「七桜、ごめんね・・・」
そう言いながら頭を撫でてたらなんか涙が出てきて、そのまま寝てる七桜を抱きしめた。
「んっ、もも?」
「七桜、ごめんね?俺、ちゃんと守りたかったのに泣かせちゃって・・・話も聞かないでごめん。ちゃんと聞く。だから嫌いにならないで・・・」
「嫌いになんてなるわけないよ。それにちゃんと帰って来てくれたし」
「本当、ごめんね・・・七桜は誰にも言えなくて辛いままだったよね。俺に話して?七桜が思ってる事。一緒に話し合って解決していこう?」
俺は、ユキの家でバンさんと話した内容を七桜に話す。
「七桜が気にしてる事ってこのうちのどれかだったりする?」
「怖いんだ・・・百の弱みになる気がして。百がうちのせいで怪我するのも、命を投げてでも助けようとしてくれることも」
「それは当たり前でしょ?七桜が助かるならなんでもするよ!」
「それが逆だったら?うちが百のためにそうしたら?百だって辛いでしょ?百がそうなるのうちだって嫌だよ」
「なら、どうすれば・・・」
その時、チャイムが鳴り家に誰かが来た。
俺はモニターに向かい誰かを確認してセキュリティーを解除した。
少しすると、またチャイムが鳴り玄関を開ける。
「さっき帰ったのにどうしたの?」
「記憶が絡んでたら話進まないんじゃないかと思って」
そう言いながら中に入ってくる。
「千?」
「電気くらいつけなよ」
そう言って電気をつける。
「とりあえず、七桜は目を冷やそうか」
千がタオルを濡らして持ってきてくれた。
「モモも冷やしときなよ。2人で泣いてどうするの。それで?ちゃんと話せたの?」
さっきのことをユキにも話す。
「言いたいことはわかったよ。でも、それは結婚しててもしてなくても関係ないことじゃない?たとえ付き合ってなかったとしても、大事なメンバーには変わりないから同じ事するでしょ?万も言ってたけど、起るかもしれない未来のことをいちいち気にしてたらキリがないよ?」