第58章 挨拶
お昼を食べてから、事務所に向かう。
百は千を見つけると、走って向かっていき飛びついて抱きつく。
「いたっ!いきなり突進して来ないでよ。どうしたの?」
「感動のハグだよっ!」
「へ?」
千が不思議そうな顔でこっちを見比べてくる。
「なんか、2人ともいつもと服装違くない?」
「午前中、俺の実家に行ってきたからね。ユキと七桜が俺の家族説得しに来てくれてたって知って嬉しくてさ!」
「挨拶してきたのね。それで言われちゃったわけか」
「まぁ、そんな感じ」
「その様子だと、反対はされなかったみたいだね。まぁ、しないとは思うけど」
「もう姉ちゃんなんか喜んじゃって。夜は七桜の家に行ってくる」
「じゃあ、あれやるんだよね?娘さんを僕にくださいってやつ」
「あっ、そっか!俺、遥人さんにそれ言わなきゃいけないんだ!」
「別にしなきゃいけないって決まりはないし、もうそのつもりだって話してるなら必要ないんじゃない?今日、僕も行っていい?」
「なんで?」
「僕も遥人さんの情報聞きたいんだけど・・・挨拶終わるまで待ってるからさ」
「確かに俺もついでに聞こうとは思ってた。ユキも聞いたほうがいいかもしれないね。じゃあ、連絡するから近くで待ってて」
「わかった」
おかりんがきて、Friends Dayで着るチャリティーTシャツのデザインとそれぞれ担当するコーナーの説明があって、Tシャツのデザインを考える。テーマは『みんなで繋がる音楽』らしいから、音楽っぽいデザインにしないといけない。
「音楽をデザインするって音符とか楽器の絵をプリントするだけじゃダメなの?」
「繋がる音楽ですからね・・・表現するのは難しいかもしれないですがライブ中の気持ちを絵に表してみてはどうですか?ライブ中も、音楽でファンと繋がっていますよね?」
「そうね。ライブ中の気持ち・・・」
「七桜は何書いてんの?」
「イメージ図?ライブ中の気持ちと音楽で繋がる気持ち?ファンだけじゃなくて世界中の人と繋がろうでしょ?それを書いてみてる」
「へぇ、なかなかいいんじゃない?」
「色んな色着いたら可愛いね!おかりんどう?」
「いいと思います!地球で世界を表現したんですね。イラストっぽくすると可愛いですし、出来たらお借りしてもいいですか?見てもらってきます!」