第58章 挨拶
「今度は時間あるときに来ますね」
そうして、百の家を後にした。
「はぁ、緊張したぁー」
「全然、そんな風には見えなかったけど?なんか、七桜が百瀬って呼ぶの始めて聞いたから新鮮でドキッとしちゃった」
「だって、あの場で百とは言えないよ」
「俺、普通に遥人さんと幸奈さんの前で七桜って呼んでるんだけど・・・」
「前からそう呼んでるから今さらでしょ?」
「そうですよね・・・はは。さて、お昼はどうする?この辺だと・・・そうだ、ハンバーガーとかどう?美味しいとこあるんだ」
「いいね!ハンバーガー食べたい!」
「お持ち帰りにして、あそこの公園で食べようよ!シートもあるし」
百お薦めの店でお持ち帰りにして、公園に向かった。
ボリュームもあって凄い美味しそう。
「うん!美味しい!」
「でしょ?昔から味変ってない。昔よく行ってたんだ。姉ちゃんとか部活の帰りとか。七桜、ありがとね。ユキと俺の家に説得しに来てくれて。記憶があるから知ってるんだもんね。俺が家族に反対されてるってこと」
「うん・・・それもあるけど、あの時百よくうちの家族と接すること多かったでしょ?練習しに来てたから必然的にそうなっただけだけどさ。ご飯一緒に食べに行ったり、泊まったりしてさ。楽しそうにしてたけど、辛そうに見えたし、羨ましいって感じにも見えたの。ユキに相談したらユキもそうしようって言ってくれたよ」
「俺の気持ちバレてたんだ・・・あんなに反対してたのに応援してくれるって言うからビックリはしたけど、まさか2人が家に来てたとは。でも、おかげで後ろめたさもなく家出る事できたし、応援してくれるって言ってもらって心強かった。俺の気持ちに気付いてそうしてくれたの嬉しいよ。気付くのは記憶関係ないもんね。俺も七桜の気持ちに気付いてあげられてる?」
「ちゃんと気付いてくれてるよ。百は人の心の変化に気付ける人だよ」
「そう?そんなに敏感ではないよ?七桜に関することなら気付けるかもしれないけど」
「そんなことないよ。三月のことだって、大和のことも気遣ってあげてたでしょ?そういうとこすごいなって思うし、普通に出来ちゃうのもすごいなって思うよ」
「へへ、そんなに言われたらモモちゃん照れちゃうなぁー」
そう言って、顔を見合わせて笑いお昼を食べた。