第57章 MV撮影
「それでも、僕は自分を大切にしてほしかった。僕を庇って怪我するなら、僕も一緒に巻き込めばよかったんだ」
そう話すユキに俺はカチンときた。
「それは違うだろ!バンさんと七桜がどんな思いでユキに怪我させたくなかったか、考えたことある?怪我した本人がユキの無事を願ってた。それだけ、大事にされてたってことじゃん!何でそれがわかんないんだよ!」
「僕は・・・万もそうだけど、七桜も怪我をして目の前が真っ暗になった・・・好きな子も守れないのか、守られてばっかりだなって・・・七桜、叩いてごめんね。モモも興奮してごめん・・・もう1杯もらってもいいかな?」
なら違うやつと七桜が入れようとするから、俺がやると止めて新しいお茶を入れにキッチンへ。
「七桜、これで冷やしときな?ユキ、もう叩いちゃダメだよ?」
「ごめん、悪かった・・・別に万を助けられなかったことに怒ったんじゃない。知ってたのに自分を犠牲にして怪我したことに怒ったんだ。腕が使えなかったり、傷痕残ったりしたらそれこそ大変だろ?」
「ユキも心配したってことだよね?」
新しいお茶を持って合流し、話しに入る。
「ありがと」
「レモンバーベナにしてみたよ。香りがいいからリラックスできて、明るい気分にしてくれるって」
みんなでお茶を飲み、いったん落ち着こうと話す。
「でも、まさかユキが七桜のことブツとは思わなかったよ」
「悪かったよ。続きの話しちゃんと聞くから」
この世界はゲームと違って七桜が存在してて、関わってる人は性格や考え方が本来と違ってると思ってる。俺がそうだし、ユキとの関係も記憶とは違う。それに遥人さんの存在も大きいし、アイナナ達は悠斗の存在。征司さん達...
「記憶の俺は、了さんとずるずるつるんでてユキと喧嘩もしてる。今の俺はそういう関係は全部切って、新たに築いた人間関係に後悔してない」
「そうね。そう考えると、いくら七桜に記憶があろうと遥人さんの存在が大きく影響してるだろうね。親バカだし、過保護だし、僕たちにもよくしてくれるしね」
親バカ、過保護は間違いない...
でも、よくしてくれることはそれだけ影響力は強いってことでもある。
「ユキは、七桜の記憶どう思う?」
曲のこと、どう思うだろう...