第57章 MV撮影
「記憶・・・?それは、生まれ変わりとかそう言う話し?」
「それとはちょっと違うかも。まず、七桜の話し聞いてあげて」
百がちゃんと話せるように千を落ち着かせてくれる。
不安だけど、もう話すしかない。
「産まれたときからその記憶が頭の中にあったの・・・」
七桜は小さい頃にあった話しから、記憶のせいでずっと違和感を感じていたことや音晴さん達と会ったときの話を聞かせてくれた。
「中学生になって、ライブハウスで千と万を見た時にここがどこなのかハッキリわかったの。アイドリッシュセブンの世界なんだって・・・」
「ゲームの世界に生まれ変わってきたってこと?」
「その考えが1番近いのかもね。でも、そのゲームはもちろんアイナナがメインでマネ子ちゃん目線で進んでいくんだって。それに、遥人さんも悠斗も幸奈さんもゲーム内には存在してないんだ」
「そうなるとゲームの世界に来たって言うのも違うのか」
七桜は続けて話す。
千に一緒にやろうと言われて困ったこと、先を知ってるからこそ関わっていいのか悩んだと。
「でも、万を救いたいって思った。結局、助けることはできなかったけど・・・ごめんね、百と千のRe:valeがなくなるのもイヤだったし、万がいなくなるのもなんとかしたかった。欲張りすぎたんだよね・・・」
「七桜・・・万を庇って怪我したのは、分かっててしたことだったのか?」
「庇いきれなくて、ごめんね」
千は辛そうな顔をして、謝る七桜の頬を叩いた。
「ユキ!?何して・・・」
「どうして怪我するって分かってたのに、自分から飛び込んでいったんだ!それで自分も怪我したんだぞ!?七桜は女の子だろ!何でもっと自分を大事にしなかったんだ!」
七桜は自分を犠牲にしてでも、バンさんを助けてあげたかった・・・いや、それもあるけど・・・
「ユキ、あの時、何日も何回も照明の整備確認してたよ?俺も近くで見てた。あれだけ確認してて事故が起るとは思わなかった。七桜は事前に防ごうとしてくれてたんだよ。それに、ユキのことも救ってあげたかったんだと思うよ?」
「僕を・・・?」
バンさんがいなくなって、ユキは辛い思いをたくさんした。
怪我をしなければ、例えRe:valeを辞めても消えることはなかったはずだから。