第57章 MV撮影
家に帰って来て、百と一緒にご飯を作る。
千も手伝ってくれたから早めにできあがった。
「久々だけど、やっぱり美味しい。同じように作っても同じ味にならないんだよね」
「特別な物は使ってないけどな・・・」
「あれじゃない?誰かに作ってあげるのと、自分に作るの違い。よく言うじゃん、愛情込めて作るって」
「なら、今度僕が作ってあげるから食べてみて?うん、味噌マヨも美味しい」
確かに、美味しいって食べてくれるのわかってるから作り甲斐はあるけど、同じく作っても味が違うのはどうなんだろう...分量が違うんじゃないのかな...
千がごちそうさまと言って片付けをしてくれたから、私はお茶を入れておいた。
「これってカモミールだっけ?」
「ユキ、よくわかったね!」
「僕も色々買ってみて飲んでるんだ。美味しいって思ったのは覚えてる」
「毎日同じ種類は飲まない方がいいんだってよ?」
「そうなの?」
「薬とは違うけど、色んな効能あるでしょ?1つだけずっと摂取すると体に負担かかることもあるんだって。だから、その日の気分とかで変えたり、休んだりするのがいいんだって」
「そうなんだ。カモミールは確か、不安とかストレス、胃腸の調子だったよね?」
「よく覚えてるね。うちも好きなのは覚えてるけど」
「俺は味は覚えてるけど、効能までは覚えきれない」
ハーブの話で盛り上がり、千がおかわりをもらう。
「それで、話って?あそこで話さなかったのには理由があるんでしょ?」
「うん。ユキにも知っておいてもらおうと思って。まず見た方がいいかも。七桜、ノート持ってきて」
「ちょっと待ってて」
ユキがなんだ?って顔してる。
七桜がノートを持ってきて、ユキに渡す。
「とりあえず、読んで」
不思議な顔してノートに目を通す。
ノートには名前や起った出来事やこれから起る出来事の内容が書かれてる。
「これ、どういうこと?七桜が書いた物だよね?日記ではないし、出来事もあってるけど違ってるとこもある。小説家何か?それとも妄想?」
「ユキ、これから話すのは七桜自身のことだよ。そのノート見て思ったことない?」
「思ったこと・・・七桜がこの中にいない・・・?」
「それはね、うちの中にある記憶なの。産まれたときからある記憶」