第56章 Mission撮影開始
「百、ありがとね」
「俺もほっとけないし。七桜は俺のマンションでよかった?」
「百はうちに呼ぶかと思ったけど」
「俺もそう思ったけど、2人の方が話しやすいかなって思ったんだ。それに気も使うだろうし。話にくいとかじゃなくてさ、グループ内の事だから、相談とかなら聞けるけど、何て言うか、兄弟水入らずの方が話しやすいかなって」
「そうだね。話したかったら連絡くるよね」
「大丈夫?どうしたの?」
このことも知ってたはずなのに...結局何もできなかった...
自分が情けなくなる...何のために記憶があるんだろうって...
突然泣き出したから、百は慌ててる。
「七桜?」
百が優しい声で呼ぶ。
「百・・・あのね、信じれないかもしれないけど・・・」
私は記憶の事を話すことにして、ノートも見せた。
「今まで誰にも言えなくて辛かったね。そっか・・・今の俺がこうやって思えてるのは七桜や遥人さんの存在が関係してるんだね。俺がユキ説得するときにさ、バンさんの代わりって思わないでとか5年だけでいいからとか言わないでって言ってたのは、知ってたからなんだね」
「それでも歌えなくなっちゃったけど・・・」
「でもさ、その言葉言ってたらもっと苦しんでたと思う。なんで歌えないんだろうって自分のこと責めてたよ。ユキに言いたいことも言えないままだったと思うし。これから起ること知ってるかもしれないけど、さっきみたいに後悔しないで?性格が違うって事は、人付き合いも変わってるでしょ?俺がそうなんだよね?ノートにも書いてあるし。だから先が読めなくて辛いし迷っちゃうんだよね」
「うん・・・そうなんだけど」
「話聞いてわかったよ。七桜は始めから俺の事考えて行動してくれてたって。了さんの事気にしてたのもそうなんだね?確かに七桜に言われてたけど、俺があの時連んでた人と切ったのは、遥人さんと話したからだよ?俺が変わったのは七桜のおかげでもあるけど、遥人さんの影響が大きい。七桜のこと守れるようにって思ったから、人付き合いもちゃんと考えた」
「うちが倒れた時の?」
「そう。あの時、俺は何もできなかった。俺の知り合いも誰も助けてようとしてくれなかった。ただ、いいように使われてただけだったんだって思い知ったよ・・・」