第56章 Mission撮影開始
「そう。デビュー当初の付き合いは、うちが倒れてから全部切ってるんだって。みんなから聞いたかもしれないけど、あけぼのテレビのパーティーであったこと」
「あぁ、ツクモの社長の弟だっけ?結構ヤバい人だって俺も遥人さんから聞いてるよ。七桜、心配なのはわかるけど記憶のことばかり気にしてたらダメだぞ。遥人さんと悠斗のおかげで、小鳥遊事務所もきっと記憶とは違うんじゃないのか?」
「環が1番違うかな。オーディションの時とは全然違うし、ちゃんと人の事考えて行動できてる。悠斗と仲良くなってからだって本人は言ってた」
「七桜だけじゃなくて、悠斗や遥人さんも記憶には登場しない人物なんだろ?遥人さんも事前に情報くれてるから早めに対処もできるから心配するな。百くんも心配するぞ?言ってないんだろ?」
「うん・・・こんなこと、話せないよ」
「別に話してもいいんじゃないか?確かに秘密ではあるんだろうけど、持って産まれたものだからどうしようもないだろ。百くんに言ったとして、千はどうするんだ?記憶があるってことは曲の記憶もあるだろ?」
「曲の記憶ももちろんあるよ。全部じゃないけどね。未完成な僕らはうちが知ってる曲と同じだった。本来、千と百の2人で歌うはずだったのが、うちが入ることで全体的にキーも高くなったでしょ?曲名は同じだけど、曲は知ってるのと少し違うの。百も作曲に関わってるからだと思う」
「ならバレたとしても問題はなさそうだな。俺だけ知ってるのもな。何かあってもいつでも話聞けるわけじゃないし、百くんと暮らしてるなら百くんにも相談できた方がいいんじゃないか?」
「けど・・・」
「大丈夫。百くんなら受け止めてくれるよ」
万はそう言って、優しい笑顔を向けてくれる。
「うん。近いうち話してみようかな・・・」
「大丈夫だから、な?」
そう言われて、納得し最近の小鳥遊事務所の様子やRe:valeの様子を話して、万と久しぶりに楽しく過ごした。
家の前まで送ってもらうと、ちょうど百も帰って来た。
「バンさん!送ってもらってありがとうございます!」
「社長にも言われてたからね。今度、俺もスポーツ誘ってよ!時間が合えばみんなと一緒に体動かしたいな」
「本当ですか!?バンさんが来てくれるならユキも絶対来るよね?」
「そうだね」
「今度声掛けますね!」